今回のアップデートでは、SCoreAI の「AIと対話しながら経営を進める」という体験を大幅に強化しました。財務相談AIの専門性向上、ダッシュボードのAIファーストUI化、そして各画面でのAIとのシームレスな連携を実現しています。
1. AI財務相談の専門化
課題
これまでAI財務相談に渡していたデータは限定的で、売上・粗利・営業利益など基本的な数値のみでした。そのため「利益率が低い原因は?」と聞いても曖昧な一般論しか返ってこず、具体的な数値を引用した分析ができていませんでした。
解決策:渡すデータを大幅拡充
年次財務データ(get_fiscal_summary_data)に追加した項目:
| 追加項目 | 内容 |
|---|---|
| 詳細BS | 流動/固定資産内訳・有利子負債・現預金・売掛・棚卸 |
| 算出比率 | 粗利率・営業利益率・自己資本比率・流動比率・ROA |
| EBITDA | EBITDA・有利子負債倍率・労働生産性 |
| SCoreAIスコア | 5項目の評価スコア(0〜5) |
| シミュレーション補助 | 推定固定費・損益分岐点売上高 |
月次データ(get_monthly_data)に追加した項目:
- EBITDA(月次)
- 人件費合計・人件費率・労働分配率
- 主要販管費(広告宣伝費・接待交際費)
- CF用残高(現預金・売掛金・短期借入残高)
感応度データ(シミュレーション機能)
「売上が10%増えたら営業利益はいくら増えるか?」というシミュレーション質問に定量的に答えられるよう、サーバー側で事前計算した感応度データをAIに渡すようにしました。
粗利率(%)
推定固定費
損益分岐点売上高
売上1%増加時の営業利益増加額
直近3ヶ月の人件費率推移
資金余命(現預金 ÷ 月間固定費)
中長期計画対比
中長期計画(MidTermPlan)のデータを取得し、計画vs実績の達成率・KPI達成状況をAIに渡せるようになりました。「計画達成できそう?」という質問に具体的な数値で答えられます。
システムプロンプトの刷新(管理コマンド)
```bash
python manage.py init_advanced_financial_script --force
CFO・財務コンサルタントと同等の専門アドバイザーとして機能するよう、システムプロンプトを刷新しました。
回答の必須要件として設定した内容:
具体的な数字を必ず引用する(「売上 ¥XXX万」「粗利率 XX%」)
前年比・計画比を計算して示す
問題点と改善提案をセットで述べる
シミュレーション質問には感応度データで計算結果を示す
変化の比較:
質問 変更前 変更後
「利益率が低い原因は?」
「粗利率の改善が必要です」(一般論)
「粗利率 32.1%は前期比 -2.3pt で低下。人件費率が 28%と高く、売上に対するコスト比率が悪化しています。まず…」
「売上10%増えたら?」
計算できず曖昧
「感応度データより: 売上+1,200万→営業利益+386万(粗利率32.2%×増分)。資金余命は8ヶ月→11ヶ月に改善します」
「計画達成できそう?」
計画データなし
「中長期計画: 目標¥1.2億に対し現在¥9,800万(達成率81.7%)。残3ヶ月で¥2,200万の上乗せが必要です」
2. AIファーストダッシュボード
ダッシュボードのトップに AI会話ヒーローセクション を追加しました。ユーザーが最初に目にする画面がAI入力ボックスになり、「メニューから探す」のではなく「AIに話しかける」という自然なスタートを促します。
ヒーローセクションの機能
時刻連動挨拶: おはようございます / こんにちは / お疲れさまです
大きな入力ボックス: Enter で即送信、フォーカス時に青く光る
音声入力ボタン(マイク): Web Speech API 対応、日本語認識、録音中は赤くパルス
6つのサジェストチップ: ワンタップでよく使う操作へ直行
チップ 送信される質問
財務状況を確認
今月の財務状況を教えて
借入一覧を見る
借り入れの一覧を見せて
財務資料を作成
財務資料を作りたい
財務を深く相談
財務について専門家レベルで相談したい
売上アップの相談
売上を10%伸ばすにはどうしたらいい?
経費削減を相談
経費を削減するためのアドバイスをください
チップをクリックすると右下のAIパネルが自動で開き、そのまま会話が続きます。
- 全ページAIコンテキストバー
ダッシュボード以外のすべてのページで、コンテンツの上部に AIコンテキストバー を表示するようにしました。
✨ AIに質問 [この画面の使い方] [データを分析] [ページ固有チップ...] [自由入力...] [→]
ページごとに専用のクイックチップを設定しています。
ページ カスタムチップ
借入概要
借入状況を分析 / 返済最適化 / 返済余力診断
年次決算詳細
財務診断 / 収益性分析 / 資金繰り相談
月次損益推移
推移を分析 / 収益性を相談 / コスト分析
財務資料作成
資料作成のコツ / 会議資料のポイント
FABボタンのピル型化
右下のフローティングボタンを、丸いアイコンから「✨ AIに質問」テキスト付きのピル型に変更しました。ユーザーが一目でAIに質問できることがわかるようになっています。
- ページデータのAI連携(最重要改善)
課題
これまでは「質問テキスト」しかAIに渡っていなかったため、月次推移ページで「このデータを分析して」と聞いてもAIは画面上のデータを知ることができませんでした。
解決策:window.AI_PAGE_CONTEXT 連携
各ページが表示中のデータを window.AI_PAGE_CONTEXT として定義し、AI送信時に自動でプロンプトに組み込む仕組みを実装しました。
連携の流れ:
ユーザーが質問
↓
window.AI_PAGE_CONTEXT(ページの実データ)+ 質問文を POST
↓
「【現在表示中のページデータ】
売上合計: ○○万円、粗利率: XX%、月別データ: [...]
【ユーザーの質問】
推移を分析して」 → Gemini へ
↓
画面上の数値を引用した具体的な回答
ページ別に渡されるデータ:
ページ 渡されるデータ
月次損益推移
期間合計(売上・粗利・営業利益・各比率)+月別データ
年次決算詳細
PL全項目・BS主要項目・財務比率・EBITDA・スコア
借入概要
借入総額・月次返済額・加重平均金利・金融機関別内訳
5. チャットパネルの幅調整
会話が増えると横幅が狭く感じるという声に応えて、パネル幅を自由に変更できる機能を追加しました。
3つの操作方法
ヘッダーの切替ボタン: 標(380px)/ 広(540px)/ 全(720px)
ドラッグリサイズ: パネル左端をドラッグして自由な幅に調整
自動記憶: 最後に設定した幅を localStorage に保存し、次回も同じ幅で開く
まとめ
今回のアップデートにより、SCoreAIは「メニューから機能を探して使う」従来型のツールから、「AIに話しかけて、すぐに必要な情報・機能に辿り着く」AIファーストなサービスへと大きく進化しました。
すべての変更はこれまでのUIを維持したまま追加されており、慣れ親しんだ操作も引き続きご利用いただけます。
ぜひ画面上部の入力ボックスや右下の「✨ AIに質問」ボタンから、AIとの対話をお試しください。